パススルーとは
ポータブル電源は、大きなバッテリーにコンセントがついた機器です。ふつうはバッテリーに貯めた電気を、本体のコンセントから取り出して家電を動かします。
パススルーは、これとは別の使い方です。専用の充電ケーブルで家のコンセントにつなぎ、同時に本体のコンセント(AC出力)に家電をつなぎます。AC出力をオンにすると、家電にはバッテリーではなく家のコンセントの電気が流れます(EcoFlowの説明書の記載)。
パススルー(pass-through)は、英語で「通り抜ける」という意味です。
EcoFlowの公式ブログ(パススルー充電の解説記事)では、接続した機器に先に給電し、余った電力で本体を充電すると説明されています。ブログが例に挙げているのはRIVER 3 PlusとDELTA 3 Plusで、DELTA 2 Maxではありません。DELTA 2 Maxの説明書には、電力はバッテリーからではなく家庭用コンセントから供給されると書かれています。機種による違いかどうかは確認できていません。この記事では、うちのDELTA 2 Maxの説明書に書かれていることを基準にしています。
説明書にある動作と上限
パススルー中はAC出力の上限が、通常の2,000Wから1,500Wに下がります。入力側にも最大1,500Wの上限があります。説明書の数字は次のとおりです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| AC入力(コンセントから本体へ) | 最大1,500W(15A) |
| 通常のAC出力(バッテリーから家電へ) | 合計2,000W |
| パススルー中のAC出力 | 100V・最大15A(1,500W) |
| X-Boost(定格を超える家電への給電) | パススルー中は使えない |
| カスタム充電の入力 | 200Wから最大値まで(既定は400W) |
カスタム充電の200Wは設定できる下限です。実際に充電に回る電力がいつも200Wになるという意味ではありません。
電気ケトルを使ったときの入力と出力
キッチン用のDELTA 2 Maxで、定格1,300Wの電気ケトルを使い、湯を沸かしている間の入力と出力を測りました。このDELTA 2 Maxには冷蔵庫と空気清浄機も常時つないでいます。表の出力は、電気ケトルと冷蔵庫と空気清浄機の合計です。電気ケトルは満水で約1.2kWの電力を使います(『DELTA 2 Maxで動かしている家電の消費電力レポート』)。
| 充電スピード | 入力 | 出力 | 入力と出力の差 |
|---|---|---|---|
| 400W | 1.37kW | 1.15kW | 0.22kW |
| 200W | 1.35kW | 1.17kW | 0.18kW |
設定を400Wから200Wに下げても、入力は1.37kWから1.35kWへと0.02kW下がっただけでした。入力と出力の差は、そのままバッテリーへの充電電力とは言えません。変換のときの損失なども含まれるためです。
以前は、入力の上限(1,500W)を超えないように、電気ケトルを使うときだけ充電を最小の200Wに下げていました。この結果から、今は設定を変えていません。
この差の理由は確認できていません。パススルー中の入力を上限の1,500Wぎりぎりまでは使わず、余裕を持たせて抑えているのではないかと考えています。実際の入力は1.37kWで、上限の1.5kWには届いていません。200Wでも400Wでも入力がほとんど変わらなかったのも、そのためではないかと思っています。説明書にこの動作の記載はなく、確認できていません。
コンセントからの給電が止まったとき
パススルー中にコンセントからの電気が止まると、本体は自動でバッテリーからの給電に切り替わります。この機能(EPS)は『停電のとき、うちの太陽光発電・蓄電池はどこまで使えるか』に詳しく書いています。説明書には、完全なUPS(無停電電源装置)ではなく切り替えが0msではないと書かれています。
うちではスマートプラグでAC入力を切ると、テレビと録画機が一瞬落ちます。デスクトップPCは、AC入力からバッテリーに切り替わっても落ちません。
充電を止めて家電だけを動かす方法と制限
説明書で確認できた範囲では、パススルー中にバッテリーへの充電を完全に止める設定はありません。
うちでやりたかったのは、天気が悪くて発電が少ない日に、バッテリーには充電せず家電だけをパススルーで動かすことでした。
そこで充電の上限(%)を使いました。アプリで上限を今の残量より低くすると、充電が止まって家電だけが動きました。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機器 | キッチン用のDELTA 2 Max |
| 残量 | 60% |
| 充電の上限 | 50% |
| 入力 | 44W |
| 出力 | 45W |
入力と出力がほぼ同じ値になりました。観察していると、同じ値になる時間帯も多くありました。上限を上げると充電が始まります。
この方法には制限があります。アプリでは充電の上限を50%より下に設定できません。残量が50%以下のときは使えません。発電が少ない日は残量が減りやすいので、使いたい場面で使えないことがあります。
出典
- EcoFlow DELTA 2 Max ユーザーマニュアル V3.0:製品仕様、本製品を充電する(AC充電)、その他の機能(パススルーモード、EPS機能)
- EcoFlow公式ブログ「パススルー充電とは?ポータブル電源で機能を使うメリット・デメリットも詳しく解説」:2026年11月3日に確認
