太陽光発電パネルを作るときの環境への負担は、何年で取り戻せるのか

太陽光発電パネルを作るときの環境への負担を、約2〜3年で取り戻せることを示す図 太陽光発電の基礎知識
当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

このサイトの太陽光発電・蓄電池環境まとめ

結論

太陽光発電パネルを作るときに使うエネルギーは、住宅の屋根での発電で、約2〜3年で取り戻せます。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2009年に発表した、住宅用の結晶シリコン系の評価で、2.2年〜3.0年でした。耐用年数を20年とすると、作るのに使った分の約7〜9倍のエネルギーを、屋根の発電で作る計算です。

作るときに出たCO₂を取り戻す年数は、この記事では出していません。参考として、発電1kWhあたりのCO₂排出量を他の電源と比べると、太陽光発電は石炭火力発電の約25分の1です(電力中央研究所、2016年)。

何を取り戻すのか

導入を決める前、太陽光発電を作るときの環境への負担が気になっていました(『太陽光発電導入までのこと』)。この記事は、その疑問を、公表されている評価で確かめたものです。

太陽光発電パネルは、発電しているあいだはCO₂を出しません。ただ、作るときには、材料の製造や加工にエネルギーを使い、そのぶんCO₂も出ます。この記事で「取り戻す」のは、作るときに使ったエネルギーです。お金の回収ではありません。住宅の屋根で発電した電気が、作るときに使ったエネルギーに追いつくまでの年数を、エネルギーペイバックタイムといいます。

評価の結果

太陽電池の種類エネルギーペイバックタイム
多結晶シリコン2.20年
単結晶シリコン3.01年
ヘテロ接合(a-Si/単結晶Si)2.42年

表は、NEDOの基本ケースの数字です。この評価では、単結晶のほうが、多結晶より、年数が長くなりました。

数字の出どころ

NEDOの2009年12月の事後評価分科会資料にある、次の条件の評価です。

  • 約4 kWの住宅用システム
  • 南向き、傾斜角20度
  • 年間発電量は、1 kWあたり990 kWh
  • 耐用年数は20年(パワーコンディショナーは10年で、交換を含む)
  • 評価の範囲は、パネル、架台、パワーコンディショナー、配線材料、接続箱

発電所では、燃料のエネルギーの一部しか電気になりません。残りは熱として捨てられます。そのため、1kWhの電気を作るには、約2.8倍の燃料エネルギーが必要です。家で発電すると、その分の燃料を発電所で使わずに済みます。この記事では、使わずに済んだ燃料のエネルギーを「取り戻した量」として数えています。発電した1kWhを、1kWhのまま数えると、取り戻した量が小さくなり、年数は約2.8倍に長くなります。

参考:発電1kWhあたりのCO₂排出量

ここまでは、エネルギーを取り戻す年数の話でした。CO₂排出量は、取り戻す年数ではなく、作るときの分まで含めて、発電1kWhあたりにどれだけ出るかで、発電の種類を比べます。ここでは参考として、電力中央研究所の評価を並べます。

発電の種類発電1kWhあたりのCO₂排出量
原子力発電19 g
風力発電26 g
太陽光発電38 g
石炭火力発電943 g

電中研の「日本における発電技術のライフサイクルCO₂排出量総合評価」(2016年7月)の数字です。NEDOの評価とは、別の評価です。

うちの場合

うちの1年間(2025年10月〜2026年9月)の発電量は3,418.6 kWh、システムは2.72 kWです。1 kWあたりでは約1,257 kWhで、NEDOの評価が前提にした990 kWhより、約27%多い数字です。作るエネルギーが同じなら、発電量が多いほど、取り戻す年数は短くなります。ただ、うちのパネルは、NEDOの評価とは種類も年代も違うため、うちの年数は計算していません。

1年間の発電量の詳細は、『太陽光発電2.72kWの1年間の実績|発電量・電気代・回収年数』に書いています。お金の回収年数は、このエネルギーの年数とは別の話で、同じ記事にあります。

この数字の限界

  • エネルギーペイバックタイムは、2009年の評価で、今の製品の数字ではありません。日本の新しい数字は、確認できていません。
  • NEDOの評価にも、太陽光発電のCO₂排出量の数字(58.6〜77.6 g)があり、電中研(2016年)の38 gとは違います。機関も年も違うためで、電中研の評価条件は、確認できていません。
  • 耐用年数の20年は、評価の前提で、実際に20年使えるかを示す数字ではありません。
  • 製造時の有害物質や、使い終わったあとの廃棄は、この記事では扱いません。

出典

  • NEDO 事後評価分科会資料(2009年12月18日): https://www.nedo.go.jp/content/100095566.pdf
    発電した電気を1 kWh=10 MJで換算しています。電気そのものの量(1 kWh=3.6 MJ)で数える場合より、年数は短くなります。
  • 電力中央研究所「日本における発電技術のライフサイクルCO₂排出量総合評価」(2016年7月)。数字は、原子力・エネルギー図面集「各種電源別のライフサイクルCO₂排出量」による: https://www.ene100.jp/zumen/2-1-9